2019年07月03日
コラム「くらしと工芸 Life with Crafts」

熊本には、季節や行事に合わせた暮らし方が県内各地に多く残っており、その暮らし方に合わせた工芸品が今も日々の暮らしの中で使われています。
「くらしと工芸」では、熊本の暮らしの中で培われてきた工芸品を、単なる消耗品ではなく、長く付き合える「愛用品」としてシリーズで紹介していきます。
コラム「くらしと工芸」vol.2
熊本のさまざまな魅力あるヒト・モノ・コトを発信し続けるフリーライターの木下真弓さんが、熊本で培われてきた「くらしの道具」の数々を紹介します。
「くまもとの匠の風土を語るものづくり きじ馬と花手箱編」
熊本の風土と歴史のなかで育まれ、時代時代のくらしに即した進化を遂げつつ、受け継がれてきた伝統工芸品。長い歳月をかけて培われてきた機能性や、研ぎ澄まされた美しさ、大量生産のものにはない味わいも魅力です。県内各地で行われている、風土を語るものづくりのなかでも今回は、人吉・球磨の伝統玩具「きじ馬」と「花手箱」についてご紹介しましょう。
きじ馬と花手箱

今から約800年前。「壇の浦の戦い」で敗れた平家一族は、源氏の追っ手から逃がれるため、ちりぢりになりながら全国数十ヶ所に隠れました。九州の山間に落ちのびてきた一族のなかには人吉・球磨の領主を頼り、やってきた人たちもいたそうです。ところがその頃にはすでに平家と縁のあった領主は滅ぼされ、人吉・球磨は相良氏の治める地となっていました。頼みの綱を失った彼らは、人吉の奥地の木地屋や大塚地区に身を潜め、新しい暮らしをはじめます。冬は雪に閉ざされるような山奥で、都への郷愁を胸につくりはじめたのが、女児の宝箱として贈られる「花手箱」と、「きじ馬」です。荒削りの桐の木に模様を入れ、輪切りにしたヒノキを車輪に見立てた素朴な造作。かつては草木染めで行われていたという赤や黄色の彩色は、都を忍びつつ、山の暮らしを慈しむ落人たちの心を表すようでもあります。
住岡郷土玩具製作所
大正時代初期から、きじ馬、花手箱、羽子板などをつくり続ける「住岡郷土玩具製作所」(球磨郡錦町)を訪ねました。2代目として技を継承するのは、住岡忠嘉さん。妻のるい子さん・長女の久美子さんが絵付けを担当しています。
「花手箱は女児の宝箱。毎年2月に人吉で行われる「えびす市」では、露店に並べられた花手箱を女の子へのお土産に、「きじ馬」は男の子のお土産として買うのが恒例でした」と、住岡さんはいいます。
最初にどの木を選ぶかで形や彩色の馴染み具合が決まるきじ馬は、住岡さんならではの技と審美眼が光る逸品です。

きじ馬の頭に書かれた「大」の文字は、京都の大文字焼きをもじったという説や、人吉に来て出会った恩師への感謝を込めて記したという説もあるともいわれます。赤・黄・緑・白・黒という5つの色は、中国の「陰陽五行」に通じるともいわれ、男の子が馬乗りになって遊んだり、家の中を転がすことで、家内の厄を祓い清めるともいわれていたそうです。
(木下真弓)
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参考商品

きじ馬(写真は4号・6号・8号)/住岡郷土玩具製作所
4号(全長 約12.5cm)/1,058円(税込)
6号(全長 約19.5cm)/1,490円(税込)
8号(全長 約25.0cm)/2,473円(税込)

花手箱(写真は白2号・5号・6号)/住岡郷土玩具製作所
白2号(下の箱の外寸 縦6.5cm×横9cm×高5cm)/1,242円(税込)
白5号(下の箱の外寸 縦10cm×横16cm×高7cm)/2,473円(税込)
白6号(下の箱の外寸 縦12cm×横18cm×高7.5cm)/3,337円(税込)
本塗り(写真は8号) /住岡郷土玩具製作所
※表面に和紙を貼って絵付けしています。
本塗り8号(下の箱の外寸 縦16cm×横24cm×高9.5cm)/12,344円(税込)

きじ花セット/2,473円(税込)/住岡郷土玩具製作所
花手箱 木2号(下の箱の外寸 縦6.5cm×横9cm×高5cm)・
きじ馬2号(全長 約6.5cm)・きじ馬4号(全長 約12.5cm)のセット
商品のお問い合わせは「熊本県伝統工芸館 工芸ショップ匠」まで
TEL:096-324-5133
くらしと工芸 Life with Crafts
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Posted by 熊本県伝統工芸館スタッフ at 16:00│Comments(0)
│くらしと工芸
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